贈与が認められないって、どういうこと?
相続税の申告が終わり、心身ともに落ち着いたと思っていたら、税務署からの「税務調査」の通知に驚くケースがあります。
相続税の税務調査は、実地調査(調査員の訪問による調査)と簡易な接触(文書や電話などによる連絡、来所依頼など)をあわせると年間で約2万件が実施されているようです(国税庁HP「令和3事務年度における相続税の調査等の状況」より)。
このうち実地調査は、資料情報等から申告額が過少であると想定される事案や申告義務があるにもかかわらず申告していないといった事案について調査が行われます。調査対象として最も多いのが、「現金・預貯金等(32.2%)」となっており、申告漏れ・修正申告の要因となるのが「名義預金「借名預金」です。
故人が「息子のために」「娘のために」とコツコツと貯め、子名義の預金通帳を発見した時は、嬉しくて涙したものの、子が知らない財産は贈与として認められず、故人の相続財産として、相続税の対象となり、ガッカリしたというケースも珍しくありません。
民法549条で、「贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。」と規定されています。つまり、「あげます」「もらいます」という双方の合意によって成立するのが贈与であり、故人が子のために一方的に貯めた預金は贈与として認められないのです。
適切な税務申告を行うため、また、時間的・精神的不安を回避するためにも、税の専門家である税理士への税務申告の依頼をおすすめします。