コロナ以外の死因大幅増
【参照元】:2022年10月16日 日本経済新聞 より抜粋
~1~3月、高齢者の在宅死影響か~
新型コロナウイルスの流行「第6波」が起きた1~3月にコロナ以外の死亡数が急増していたことが分かった。
前年同期より増加した約3万8千人のうち8割以上は老衰や心不全などコロナ以外の死因が占め、コロナによる増加分は6千人だった。
80代以上の高齢者の死亡が多く、入院せずに自宅や施設で亡くなった影響とみられる。
厚生労働省の人口動態統計(概数)によると、1~3月の死亡数は約42万人で、前年より約3万8千人(10%)増えた。
死因別では、最も増加したのは心不全など「循環器系の疾患」で約1万人(10%)増えており、「老衰」も約8千人(21%)増えた。
コロナによる死亡は約1万2千人で前年より約6千人増えた。増加分の8割以上はコロナ以外の死因だった。
年代別では前年同期より80代が約1万5千人(11%)、90代以上が約1万7千人(15%)増えていた。高齢化で死亡数は年数%増えているが、第6波の1~3月は10%以上増えていた。
減少傾向だった循環器系の疾患による死亡は21年以降は増加傾向に転じている。22年1~3月では前年同期より約1万人増加し、内訳でみると心不全や不整脈などの死亡が半数を占めた。
高齢者を中心に増加しており、ワクチンの副作用の一つとされる心筋症は若年層を含めて死亡数の増加には影響していなかった。
厚労省が死亡場所を公表している20~21年の確定数(年間)でみると、自宅で死亡した人は20年に21万6千人、21年は約24万8千人で、いずれも前年より3万人程度増加した。
コロナ禍前は数千人の増加傾向だったが、大幅に増えた。東京都内の訪問看護ステーションの看護師は「コロナ禍では入院すると家族と面会できなくなる。
入院中の患者が『家族と一緒に自宅で最期を迎えたい』と退院したり、健康状態が悪化しても入院しなかったりする高齢者が増えている」という。
老人ホームでの死亡数も21年は前年より約1万8千人増の約14万4千人だった。22年1~3月の第6波では医療が逼迫して入院できない高齢者が多く、同様の傾向が続いているとみられる。
20年はコロナ対策を強化した余波で肺炎やインフルエンザなど感染症の死亡が急減し、コロナ禍にもかかわらず年間死亡数は11年ぶりに減少した。
21年は増加して平均寿命も減少したが、2年間でみると、日本は平年を大きく上回る「超過死亡」はなかった。