2023年度の税制改正③
【参照元】:2023年1月1日 日本経済新聞 より抜粋
~教育資金一括贈与等は延長 マンションの相続税評価見直しへ~
教育資金の一括贈与の非課税制度は26年3月末まで延長される。
父母や祖父母が30歳未満の子や孫の教育費に使うために子や孫1人につき1500万円まで非課税で贈与できる制度だ。
23年3月末で廃止されるとの見方があったが、与党内で「若い層に資産移転を促す上で必要」との声が強く、存続が決まった。
ただ、この制度も富裕層の過度の節税につながるとして批判が強い。
そこで親や祖父母が亡くなった時点で使い残しがあり、相続財産が5億円を超える場合は、贈与された人の年齢にかかわらず使い残した額を相続税の対象に加算することにした。
現在は贈与された人が23歳未満なら使い残しがあっても相続時に加算されないが、富裕層はその特典をなくす。子や孫に1人1000万円まで結婚・子育て資金として非課税で贈与できる制度も25年3月末まで延長するが、将来は「廃止を含め検討する」とされた。
不動産による過度な相続節税を防ぐ方針も明示された。
不動産の取引価格が変動しても、固定資産税の見直しは3年ごと、路線価は1年ごとで、相続税評価額に反映されにくい。
地価上昇が続く都市部などでは評価額が実勢価格より低い例が多い。このため高額な物件をあえて購入し、評価額と実勢価格の大きな差を利用した過度な相続節税が増えた。
22年4月には相続した賃貸マンションの評価額が実勢価格より低すぎるとして、国税当局が再評価し追徴課税した例を、最高裁が「適法」と判断した。約13億8000万円で購入した賃貸マンション2棟について、約4分の1の評価額で申告されていた。
大綱や最高裁判決を踏まえ、国税庁は23年に有識者会議を設けて価格の乖離(かいり)の現状を分析し、相続税評価額を適正水準に引き上げる見直しを検討する。早ければ23年中にも評価方法を定める通達を改正する可能性がある。
例えば近隣の取引価格をより反映させる手法などが検討されそうだ。