相続税の税務調査

【参照元】:2023年3月5日 日本経済新聞 より抜粋

~ ここが見られる うっかりも追徴課税 ~

図表1 税務調査を受ける件数は?

実際に相続税の税務調査を受けるケースはどのぐらいあるのか。
コロナ禍の影響を受けていない2016年中に死亡した人のデータ(図表1)で検証する。
2016年の被相続人の数(死亡者数)は130万7748人。そのうち相続税の申告書提出の対象になったのは、1割強の13万6891人。
うち3万1011人は、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減などにより無税で済んでいる。
それを除外した10万5880人が実際の課税対象となり、被相続人全数に占める割合は8.1%となる。

このうち税務調査の対象になったのは1割強に当たる1万2463件で、その85.7%に当たる1万684件から申告漏れ等が見つかっている。

申告漏れ課税価格は1件当たり平均2838万円、追徴税額は568万円。
ひとたび税務調査が入れば9割近くの確率で申告漏れ財産が見つかり、相当額の追徴税額が課されることになる。

それがたとえ”うっかり”による申告漏れでも10〜15%の過小申告加算税が課され、悪質な場合は35%の重加算税が課される。
税務署は相続財産の情報のほとんどを押さえている。「この程度なら見逃される」とは安易に考えない方がいい。

なお、比較的軽微な申告漏れや計算間違いなどの場合には自宅への実地調査までには至らず、文書や電話による連絡か、相続人に税務署への来所を依頼し、修正申告の提出を求める簡易な接触を実施する。
この場合の申告漏れ等財産の額は1件当たり平均428万円、追徴税額42万円となっている。
やはり実地調査を受けた場合に比べてかなり低い。

税務調査で調べられやすい財産は3つ。「(家族)名義預金」「被相続人が亡くなる直前の高額な出金」「化体(けたい)(お金が何らかの財産に変わる)財産不明」。
近年では相続財産の中にデジタル遺産も増えている。

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